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バックパッカーの旅Ⅰ(東京~アテネ)

バックパッカーの旅Ⅰ(東京~アテネ)

会長と会長の家族に再会

                     ≪十月十八日≫   ―胡―

       正男「今みんな、宿を一箇所へ移し変えたところなんだ。来

 れば・・・。」

   話によると、オリンピック競技場の近くにある「ジョセフ・ハウス」

 で、みんな一緒に寝起きし、自炊生活を始めたとのこと。

       俺 「ああ、じゃあ場所だけ教えておいてよ。今日はもう宿

 を取っているし・・・。」
       正男「どこへ泊まってんの?」
       俺 「プラカ地区の中だけど。ここからはわりと近いよ。」
       鉄心「ドミトリーでしょ・・・。」
       俺 「ああ、七人部屋だったかな。荷物だけが心配なんだ 

 よ。」
       鉄心「俺たち、二人ずつ二部屋確保しているから、荷物だけ

 でも持ってくれば良いのに・・。」

       俺 「そうだな。また何れ行くよ。今からどこへ行く   

 の・・。」
       正男「兄貴のところへ行く途中なんだ。一緒に来る?」
       俺 「そうだな。会長とも久しぶりだし、女性人や子供たち

 も来てるんだろ。ちょっと貌を出してみるか。」

                     *

   四人と一緒にアテネの街を歩く。
 昨日まで、こんなに早く仲間と出会うとは、夢にも思わなかったのに。
 もう完全に夜の帳は下り、街には灯りが灯っている。
 15分も歩いただろうか。
 彼らの宿に到着した。
   「TEMPI HOTEL」と書かれた建物の前にやってきた。
 四階の一室が、会長たち家族の部屋になっている。

   ドアをノックする。
       会長「おおー!!東川君じゃあないか。いつ着いたんだ。」
       俺 「今日の朝・・・です。」
       会長「俺なんか、トップ賞だよ。今日はピレウス港まで、子

         供たちを迎えに出てたんだけどな。」
       俺 「そうでしょう。そんな話聞いてたんで、探してみたん

         だけど・・・。よく考えたら、時差の計算したなかった

         みたい。」
       会長「これでみんな、揃ったみたいだな。ううん、後はO君と

         W君に・・・あいつだけだな。」

   部屋の中には、二つのベッドがあって、ひとつには奥さんと子供たち

 二人がちょこんと座っているのが目に入った。
 新太郎君、1才。
 真美ちゃん、3才。
 近くに、奥さんの妹、玲子ちゃん(21歳)の顔も見える。

       会長「W君は、沖縄でお金を取られて、一時日本に帰っていた

         けど、また出てきたみたい。インドあたりで熱病にやら

         れたようなんだ。 一週間ぐらい静養してから、アテネ

         に向うって言ってたから、もう今頃イランに入っている

         ころだと思うよ。O君とあいつは、今頃どこを歩いている

         やら・・・。あいつとは、ネパールで遭ったきりだし

         な。まっ!心配ないよ・・・きっと。」

   会長は相変わらず、いろんな情報をつかんでいる。
 とにかく事故がなかっただけでも、このヒッチハイク競技会は大成功だ。
 全員無事、日本に帰りたいものだ。


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